”つぶやき”じゃ足りない(5)~とあるトラウマ~

雑感

今でこそ私はメタボ体型で生活習慣病の三冠保持者だが、幼い頃は痩せていて極端に身体が弱かった。

・・・ウソでないって。ホントだって。

8歳の頃、学校でインフルエンザの予防接種を受けたその日に発熱した。後の経過はあまりよく覚えていない。下校後、猛烈にフラフラして苦しかった記憶はある。その様子を見たおふくろが慌てて医者に連絡したあとすぐに病院に行った記憶もある。二、三日学校を休んだ(と思う。)。幸いなことに何の後遺症もなく回復した(と思う。)。

(これが切っ掛けで体質改善の市販薬を服用し始めたらいつの間にか”朝潮関”になってしまったのだが、それはまた別の話。)

一体何だったのか、正確なことは今でも解らない。おやじは「知らん」としか言わなかったし、おふくろは「インフルエンザの予防注射でインフルエンザになった。」と怪しすぎることしか教えてくれなかった。ただ間違いないことはそれを機に私は予防接種が恐くなった。巷間いうところの”トラウマ”になった。

その後、予防接種の問診票には必ずその出来事を書くようになった。そのためか、毎回”接種不可”とされて小学生時はもとより、ついに中学卒業まで予防接種を受けることはなかった。

高校でも予防接種はあったが当時は”希望者制”だった。一年のとき粋がって受けたら気分が悪くなった(保健室で休んだ程度だが)ので、それからは希望しなかった。

以降、私はすべての予防接種を避けてきた。20代後半にインフルで朦朧としたことがあったけど、”これからは予防接種を受けよう”とはならなかった。イソジンとか使って”予防”して、でも徹底していなかったからその後幾度かインフルに罹ったし、風邪ひきはしょっちゅうだった。

けどね、それじゃいけなくなったのね。”新型”のせいで。

私自身の”新型”に対する怖さはインフルのそれと変わりはないのだけれど、世間様への影響力はインフルの比ではないご時世なので「あなたがタイトル持ちなら先にワクチン接種できますよ。」って案内されたらやらんわけにはいかんしょ。で、持病が引き鉄になって突然死するのも面白くないので「三冠ホルダーなのでよろしくお願いします。」って流れになってしまった。タダだし。

問診票に幼き日の出来事を書いた。「懐かしいな。」って思った。直前の医者との問診では「昔のことだから今は関係ないでしょう。」って笑顔で一刀両断されて、それよりハウスダストの過敏症の方を詳しく聞かれた。あとは事務的な素早い流れ作業。怖さを感じる暇もなく、注射の痛みも全く感じないうちに1回目の予防接種を終えた。

経過観察の15分間、渡されたタイマーを所在なく弄りながら「インフルも受けてみるかな。」とか考えてた。

結局、トラウマなんてものはもうとっくに解消されていて、昔の出来事は面倒を避けるための言い訳だったのね。まぁ、気づいてはいたけど。だって問診票を書くとき”懐かしい”とは思っても切実な気持ちはなかったもの。「参考になれば」って感じが近いかな。チクリともしなかった注射に感動すらしたし。

後期中年齢者になれば、思い通りにならなくなり始めた身体について考えることが多くなる。その一環で長年の禁を破ったわけだが、大した”禁”でもなかったわけだ。ならば他の予防接種も必要ならば受けてみてもいい。慎重にはなるけど”絶対に接種しない”理由はもうないから。

”ピピッ・・・ピピッ・・・”

タイマーを渡した看護師さんに「お大事に」と声をかけられながら出口に向かうと、”ご自由にお持ちください”と書かれた棚に「海外旅行される方へ~予防接種について」というパンフレットがあった。予定は全くないけど一部もらった。ちょっと勉強してみるか・・・。

あ、それより2回目が先だわ!

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました