畑はとりあえず寝かせておいて、ポットに手持ちの半分の種を植えた。本当ならハウスみたいな育苗場所を作って日当たりと温度の管理をすべきなんだろうけど、資材もないしやり方の知識も足りないので物置の日当たりの良さげな場所にポットを置いた。温度はまぁ大丈夫だろう。
こんな感じ。
五、六日後、幾つかのポットで土面が割れてきた。”いよいよ発芽だな”。期待しながら待つことにした。
その日から普段は暇なのに所用が入って急に慌ただしくなり、幾日かポットの様子を見ることを失念した。その間は雨の日が続いた。土割れ確認から数日後、「どうなったかな?」と双葉の開いている姿を期待しながら物置に入ると、そこには”カイワレ大根もどきのもやし”が大量にあった……。
「???」
人は予期しない出来事に出くわすと一瞬戸惑うものだ。”パニクる”ともいう。ポットから生えていたのは可愛くもしっかりした芽ではなく、ヒョロ~っと細~く伸びた先に種粒ほどの葉がついたカイワレもどきのもやし。それがあちこちのポットから生えていた。あるいは、植え付け時から何も変わらないポットも。
「え”ぇぇ~?」と叫声が思わず出た。一目で失敗していることが解る状況。けれどとりあえずなんとか無事なヤツはないかと探し始めたが、ヒョロヒョロと伸びたものは自立できずに倒れ、芽の出ていないものは土を返せば中で腐っていた。
全滅……
「ふ~む……」。惨状を確認してため息を一つつくと急に落ち着いてきた。とにかく企んだ”時間差ポット作戦”は見事に失敗だから悔しがるのは後にしよう。処分もやらなきゃならないがその前に、”何故こうなったか”の要因が今現在の様子から導き出せないか考えよう。”現場検証”というやつだ。
日光~陽ざしは入るが擦りガラス越しの光がほとんど。直射日光は一部分で時間により当たる場 所が変わる。ポットによっては直射日光が当たらないものもあったようだ。さらに雨で充 分な日光は得られていなかったものと考えられる。 温度~発芽に必要な温度は確保されていたようだが、雨やすきま風でポットの場所によっては不 十分だった可能性は否定できない。 水分~上部の写真のようにプラの箱にポットを並べただけだったので、ポット内の余分な水はそ の底部の穴から排出されるものの、それから先はプラの箱に貯まる一方の状態。 実際、確認したらプラ箱の底に少量の水が溜まっていた。 土割れを認めた際にひとしきり水を撒いたが、その名残りと思われた。
結論・・・置き場所悪くて日光不足の”カイワレもやし化”、芽を出せなかったものは水分過剰で腐敗。
結局、知識と経験の不足による典型的な”やらかし”。裏付けも無く思い込みだけで実行したが故の失敗。
それでも、やらかした原因とかやっちゃダメなことは何かということは、自分なりに理解できた。全滅ポットはその授業料となったわけだ。尊い犠牲であった……いや、余計なこと考えないでこれまでどおり全部直播きしろよって話しだけどさ。
授業料達をコンポストに入れながらふと気づいた。「あ、失敗の写真撮ってなかった……」。少なからず動揺はしていたようだ。
さて、じゃぁ残りはこれまでと同じ直播き。気を取り直して畑が仕上がるまで反省と勉強でもすっか!
空元気……
(to be continued…)
コメント